福山市立動物園飼育員ブログ
『ソラちゃん冬を無事に乗り切る の巻』
テーマ:フンボルトペンギン 投稿日:2018年2月27日
びっくりする位目まぐるしく気温が上がり、
春がすぐそこまで来ているのを感じます!
 
昨年生まれ、1才になりましたフンボルトペンギンのソラちゃんを
みなさん覚えていますか?
よその部屋に迷い込んで、幼くしてペンギン社会の厳しさを思い知ったあの赤裸Babyです・・・・
(記憶にない方は過去のブログや機関誌「さえずり」を探って見て下さい!)
 
あの事件のあと傷もじきに治り、巣立ちもし、
血液検査の結果メスであることがわかり『ソラ』と名付けました。
一匹狼で、いつも隅っこに独りで立っているような子ですが
(洗礼のせいでペンギン不信?!)、
エサ取り訓練をしなくても自分で魚を捕ることを覚えてくれ、ひと安心していました。
 
ところが秋も終わりに近づき、私たちが北風にジャンパーを羽織り始めたころ・・・
何を勘違いしてしまったのかおっちょこちょいなのか、
ソラはなんと換羽を始めました!!

 
換羽は基本的に8~9月頃行います。
羽根が抜けるのでその期間は寒さにも対応できませんし、
採漁があまりできないので体力温存の必要もあります。
つまり、気温が低くただでさえ寒さに体力を奪われるような冬に普通換羽はしません!!
 
全身の羽根が抜け変わるのにだいたい2週間くらいはかかるので、
本格的に寒くなるまでに終わらせられるのか?と様子をうかがっていたら、
ソラの身体も途中で間違えたことに気づいたのでしょうか、
途中まで羽根が抜け変わったところで換羽を中断したようでした(笑)
 
てなわけで中途半端なボロボロの羽根でこの極寒だった冬を迎えることとなったソラ、
寒さに対抗する体の仕組みをたくさん備えたペンギンと言えども
さすがに羽根ガボロボロでは保温効果も薄く、地肌が冷たい水にぬれてしまう・・・
体重を定期的に測ったり、餌食いをチェックしたり、様子を注視しておりましたが
なんとか無事に冬を乗り切ることができました☆★☆★
 
 
もちろん飼育員の心配なんて露程も知らないであろうソラですが、
ここ最近急に飼育員にべったり甘えんぼになり、
掃除をしていると足元をず~っと付いてきたり、ブオッブオッと甘えてきます。
ソラちゃん、ぜひ今年の換羽はちょうどいい時期に全身を成功させようね!!! 

長くなりましたが、ソラを見ていると何故かいつも私の好きなこの詩が思い浮かびます。
 
『わたしと小鳥とすずと』
わたしが両手をひろげても、お空はちっともとべないが
とべる小鳥はわたしのように、地べたをはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように、たくさんのうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。
 
金子みすゞさんの詩です。
ソラを見ると頭をめぐるのは『そら』違いでしょうか・・・?(笑)
なかなか周りに打ち解けられず、おっちょこちょい、今は見た目もおかしなソラですが、
みんな違ってみんないい、いつかきっといいパートナーを作れると信じているよ!

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