福山市立動物園飼育員ブログ
「コガタヤギのオンプが亡くなりました」
テーマ:その他 投稿日:2020年2月11日
コガタヤギのオンプの訃報について、お知らせします。

1月中旬ごろから食欲低下と軟便がみられ始めたため、1月26日からは暖かい寝室ですごしてもらっていました。

1月末ごろまでは、気分転換の散歩のときなど、リードを持った飼育員が力負けしそうになるくらい元気な姿をみせてくれていましたが、2月に入ってから、すこしずつ状態が悪くなってしまい、2月10日のお昼ごろ、飼育員たちが見守る中で息を引き取りました。お腹の癌でした。

オンプは2005年に当園で生まれ、長い間、みなさまから親しまれてきました。
みなさま、14年間、オンプを見守って頂き、本当にありがとうございました。

病気を抱えながらの晩年でしたが、いつもフレンドリーで、私は元気や笑顔をもらっておりました。

オンプ、おつかれさまでした。そして、ありがとう。 (獣医師)

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「2019終わり」
テーマ:小動物ゾーン 投稿日:2019年12月31日
こんにちは。
小動物担当です。


2019年は新年度の4月から、ゾウ&もうじゅうゾーンの飼育担当もするようになったため、小動物ゾーンの飼育担当から外れることが多くなったそんな年となりました。

見習いのゾウ担当でもあるため、小動物ゾーンを担当するときでも、ボルネオゾウのふくちゃんと仲良くなるために、毎日かかさずおやつを与えに現在進行形で行っています。


見習いのゾウ担当をすることの恩恵は意外にも?あり、ふくちゃんに与えているバショウやソルゴー、サトウキビなどの新鮮な食べ物のおすそ分けを小動物ゾーンへ持って帰ることができています。


そんなかけもちの担当ですが、先日開催されたJAZA主催のゾウ会議において研究発表(口頭発表)をおこなってきました。
内容は、簡単にいうとクラウドファンディングによりゾウ用の大型フィーダーを作成したこと、そのフィーダーがふくちゃんの行動にどのような影響を与えたのかというものです。
今回の発表に関して、他の動物園の方々の関心は高かったようで、たくさんの質問やコメントをいただきました。

地方の小さな動物園ではありますが、できることはまだまだたくさんある。
そう感じることができたゾウ会議となりました。

今回、おこなった発表内容については、何かしらのかたちでみなさんにお伝えできると思いますので、楽しみにお待ちいただければ嬉しい限りです。


ゾウ会議で他の動物園のケープハイラックス飼育担当の方々とハイラックスのことばかり話していたことを、ここにこっそり報告をしておきます。



小動物ゾーンの動物たちは、体のサイズが小さいため嬉しいことも悲しいことも多くあると感じています。
2019年の4月に、バックヤードで飼育していたケープハイラックスのポンタが老衰で亡くなりました。
このことは、担当として忘れられない出来事のひとつです。
彼からは、高齢動物のケアやその個体に応じた飼育方法などさまざまのことを学ばせてもらいました。


病気やケガをした動物たちのケアやエンリッチメントの充実など、課題はまだまだたくさんあります。


高齢のマレーヤマアラシ2頭ともが、無事に21歳を迎えることができたことは嬉しい出来事のひとつ。
マレーヤマアラシたちが今年も1年間無事に過ごすことができ、とりあえずはほっとしています。


何年も前からいろいろなタイプのものを作り続けているこちらの掲示。
この「Respect the Animals!」は、ハワイのホノルルzooに掲示されているものを参考に作成をしました。
ホノルルzooにこんな素敵な掲示がしてあることを、ファンの方に教えていただき、小動物担当ver.としてアレンジしての掲示です。
ご来園のみなさんにとっては、手書きの掲示のほうが目にとまりやすいのではと思い、ここ数年はイラストを含め手書きで作成してばかり。
毎回楽しみ悩みながら作成してはいますが、学芸員のはしくれとして、まだまだ修行が必要です。


今年も1年間、飼育ブログにお付き合いいただきありがとうございました。
それでは、また来年。
よいお年をお迎えください。

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「パルマヤブワラビーのボタンちゃん」
テーマ:パルマヤブワラビー 投稿日:2019年12月20日

ボタンが2019年10月29日に亡くなりました。
享年6歳でした。

ボタンはカンガルー病の治療のため、9月中旬から非公開の予備の動物舎で飼育をしていました。

死因は食滞でした。
カンガルー病の治療のために使っていた抗生物質の影響により、消化器官である胃の働きが弱まってしまい食滞に繋がった可能性があると考えています。

ボタンは毎日おこなっていた投薬にも堪えて、エサをたくさん食べてくれていました。
症状も良くなってきていたため、小動物ゾーンの仲間たちのもとへ近々戻すことを考えていたところでした。

カンガルー病とは、カンガルーや小型種のワラビーに一般的に見られる病気であることからこのような名前がついています。(正式には顎放線菌症という病名です)
この病気は、顎の骨が化膿して腫れてしまうことが主な症状です。
病状がひどくなると化膿がひろがり、食べ物を食べることができなくなって亡くなってしまうことがあると言われています。
乾草などの硬いものを食べたときに、刺さったり歯にはさまったりして虫歯や歯茎が化膿したり、展示場の壁などに衝突した際に口腔内にできた傷が化膿することなどが原因とされています。
野生のカンガルーの仲間は主にやわらかい草を食べており、また、体の構造上、非常に傷口が化膿しやすい特徴があることが関係しています。



ボタンは岡山県の池田動物園で2013年7月1日に生まれ、2014年2月13日に来園しました。


亡くなったボーイとの間に、子どものツバキに恵まれました。
ツバキは2017年に沖縄県のネオパークオキナワに移動しています。


2018年の秋には、東京都の大島公園から新しく仲間たちが来園してから彼女たちの暮らすオーストラリアエリアは、ますますにぎやかになりました。


ボタンの病気についての経過説明です。


右顎の骨が化膿して、顎の周辺が腫れてしまったボタン。

福山動物園でのカンガルー病はボタンが初めての症例となりました。
2019年の夏頃に顎が少し腫れていることに気付いたのが始まりでした。
症状に気付いた初期のころは、ボタンを群れからの隔離してしまうとストレスを感じ、エサを食べなくなってしまうのではと思い、群れの仲間たちと一緒に暮らしながら、投薬をおこなっていました。
ですが、他のワラビーたちがいる中での投薬は、私たちが無理をしてしまうとワラビーたちがパニックになってしまうため、私たちの動きが制限されてしまい、順調に投薬というわけにはいきませんでした。
顎がひどく腫れていたことがあったため、麻酔下で検査をし、顎の膿を摘出する処置を複数回おこないましたが、顎の腫れは残念ながら繰り返し生じました。
2019年の9月中頃にはボタンを群れから隔離して非公開の予備の動物舎で飼育をしながら、確実に投薬をおこなう日々がはじまりました。
初期の頃から、隔離して確実に投薬ができていれば違う結果になっていたかもしれないと思うと、残念で申し訳ない気持ちです。


カンガルー病は、予防と早期発見が重要です。
今後、他のワラビーたちが発症してしまう可能性は少なからずあります。
発症した場合は、早急に隔離して投薬をおこない、病状を止めることを目指します。
また、注射を用いて投薬をおこなうことを想定して、ワラビーたちに触ることができるよう、日頃からの触ることへの馴致をしていかなくてはなりません。
カンガルー病の克服が、ワラビーを飼育する私たち飼育担当の今後の課題です。


どこかで日向ぼっこをしながらお昼寝をして、以前一緒に暮らしていたボーイくんとの再会を願います。


ご報告が遅くなってしまい、申し訳ありません。
ボタンのことをかわいがってくださった多くのみなさまに感謝いたします。

小動物担当一同

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「埼玉へ」
テーマ:ワライカワセミ 投稿日:2019年12月10日
こんにちは。
小動物担当です。


10月21日に、ワライカワセミの息子くん(2018年繁殖個体)が、埼玉県こども動物自然公園に旅立ちました。
21日の午前中に飛行機で出発し、当日の夕方には無事に到着の連絡がありました。

息子くんは父親から攻撃をされてしまったため、バックヤードで暮らしていました。
その父親も、母親とのペア解消をおこなったため、現在は非公開の予備の動物舎で暮らしています。


前回の移動と同様に、父親が静岡の日本平動物園所有のブリーディンングローン(略してBL)個体で、息子くんも日本平動物園の所有となっていました。

そんな、息子くんは父親のBLの関係での移動となりました。

息子くんは、ヘルパーとして子育ての経験はないものの抱卵の経験はあるので、移動先の埼玉県こども動物自然公園でのメスとの出会い、そして繁殖に期待しています。


旅立った息子くんのことを小動物ゾーンから応援しています。
埼玉県こども動物自然公園にお出かけの際には、会いにいってあげてくださいね。

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「訃報 ワオキツネザルのルナについて」
テーマ:ワオキツネザル 投稿日:2019年11月22日
 この度、ワオキツネザルのルナ(21歳)が死亡しましたのでお知らせします。 

 ルナは薬を飲みながら乳腺癌とその転移癌と闘っておりましたが、それでも毎日ちゃんとご飯を食べるなど、頑張っている姿を見せてくれておりました。しかし、この秋くらいから、急激に容体が悪化し始め、11月10日、安楽死を実施する運びとなりました。  

 ルナは2000年に福山市立動物園に来園し、およそ19年間、みなさまに可愛がっていただきました。その期間のほとんどを、オスのアポロと一緒に過ごし、仲の良い2頭にはたくさんの子どもが誕生しました。ルナは、時にはアポロを部屋の隅っこに縮こまらせるほどの強気レディで、子育ても私たちの手助けを一切必要とせずに元気に育て上げる、そんな『肝っ玉母ちゃん』でした。当園で暮らすアースも、ルナとアポロの息子で、今は可愛いお嫁さんをもらって元気に暮らしています。  
 
 私が初めて担当についた年の春も、生まれたばかりの双子の姉妹を両脇に抱えていました。ルナは子育ての大変さと母の偉大さを私に教えてくれました。  

 その双子も大人になり、お嫁入り先が見つかった昨年8月頃、ルナの乳房が不自然に膨らんでいることに気が付きました。摘出手術を行い、検査をした結果、乳癌であると診断されました。再発や転移がないことを祈っていましたが、今年の始めには再発が見つかり再手術、更にその後、転移も見つかってしまいました。それからは薬を飲みながらの生活でしたが、それでも容体が悪化するまでは、元気そうにご飯を食べる姿や、アポロと毛づくろいし合う仲睦まじい姿などを毎日見せてくれていました。  

 闘病生活に入ってもいつも堂々としていて、まさに『肝っ玉母ちゃん』という感じだったルナ。そんな彼女がいなくなってしまったことは、とても悲しく寂しいですが、おそらく毎日頑張っていたルナに、今は心から「ありがとう、お疲れ様」と伝えたいです。これからは、息子であるアース夫婦が、ルナの繋いできた命を受け継いでいってくれるのだろうと思います。ルナが築いてきてくれたような、立派な家族を作ってほしい、と思います。  

 みなさま、今までずっとルナを見守ってくださりありがとうございました。ルナ、本当にお疲れさまでした。今まで本当にありがとう。



 

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