福山市立動物園飼育員ブログ
「ミルルのお引越し」
テーマ:アムールトラ 投稿日:2020年3月12日
 3月10日(火)、アムールトラのミルルが徳山動物園へお引越しいたしました。

 輸送業者さんのトラックに乗ったミルルは、スタッフに見送られて8:45頃に福山を出発。お昼には徳山動物園へ到着しました。

 ミルルは、徳山動物園へ到着後も落ち着いていたそうで、すんなり新しいお部屋にも入ってくれたそうです。

  何はともあれ、無事に移動が終わり、スタッフ一同ほっと胸を撫で下ろしています。 
 
 ミルルの搬出までの様子などは、機関誌「さえずり」にて改めてご報告したいと思っております。

 ミルルを可愛がって下さった皆さま、長い間、本当にありがとうございました。

 新天地での生活が始まったミルルに、引き続きの応援を頂きますよう、よろしくお願いいたします!

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アムールトラ「ミルル」の移動について
テーマ:アムールトラ 投稿日:2020年2月26日
 当園で飼育展示しているアムールトラのミルル(雌・11歳)が、2020年3月10日に山口県の周南市徳山動物園に移動することになりました。

  ミルルは、2011年3月に秋田県の大森山動物園より来園しました。
 とても「べっぴんさん」な顔立ちと、おっとりした性格で、たくさんの皆さまから親しまれてきました。

 アムールトラは、野生での生息数が少なく、ワシントン条約Ⅰ類に指定されている絶滅危惧種です。ここ数年は、雄の「アビ」と共に繁殖に向けて頑張ってきたのですが、残念ながら子宝には恵まれませんでした。
 そのため、アビとミルルのペアは一旦解消することとなり、新しいペアリング計画に基づいてミルルは徳山動物園へお引越しすることになったのです。

  寂しくなりますが、日本のアムールトラの未来のためにミルルが新天地で頑張ってくれることを願っています。
 今まで可愛がっていただいた皆さまには、是非お引っ越し前にミルルに会いに来ていただけたらと思います。

 スタッフ一同、ミルルと共にお待ちしております。


(ミルルの展示予定は以下のとおりです)
 2月26日(水)、28日(金)
 3月2日(月)、4日(水)、6日(金)、7日(土)
※展示予定は、都合により変更になることがあります。ご了承下さい。

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「コガタヤギのオンプが亡くなりました」
テーマ:その他 投稿日:2020年2月11日
コガタヤギのオンプの訃報について、お知らせします。

1月中旬ごろから食欲低下と軟便がみられ始めたため、1月26日からは暖かい寝室ですごしてもらっていました。

1月末ごろまでは、気分転換の散歩のときなど、リードを持った飼育員が力負けしそうになるくらい元気な姿をみせてくれていましたが、2月に入ってから、すこしずつ状態が悪くなってしまい、2月10日のお昼ごろ、飼育員たちが見守る中で息を引き取りました。お腹の癌でした。

オンプは2005年に当園で生まれ、長い間、みなさまから親しまれてきました。
みなさま、14年間、オンプを見守って頂き、本当にありがとうございました。

病気を抱えながらの晩年でしたが、いつもフレンドリーで、私は元気や笑顔をもらっておりました。

オンプ、おつかれさまでした。そして、ありがとう。 (獣医師)

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「2019終わり」
テーマ:小動物ゾーン 投稿日:2019年12月31日
こんにちは。
小動物担当です。


2019年は新年度の4月から、ゾウ&もうじゅうゾーンの飼育担当もするようになったため、小動物ゾーンの飼育担当から外れることが多くなったそんな年となりました。

見習いのゾウ担当でもあるため、小動物ゾーンを担当するときでも、ボルネオゾウのふくちゃんと仲良くなるために、毎日かかさずおやつを与えに現在進行形で行っています。


見習いのゾウ担当をすることの恩恵は意外にも?あり、ふくちゃんに与えているバショウやソルゴー、サトウキビなどの新鮮な食べ物のおすそ分けを小動物ゾーンへ持って帰ることができています。


そんなかけもちの担当ですが、先日開催されたJAZA主催のゾウ会議において研究発表(口頭発表)をおこなってきました。
内容は、簡単にいうとクラウドファンディングによりゾウ用の大型フィーダーを作成したこと、そのフィーダーがふくちゃんの行動にどのような影響を与えたのかというものです。
今回の発表に関して、他の動物園の方々の関心は高かったようで、たくさんの質問やコメントをいただきました。

地方の小さな動物園ではありますが、できることはまだまだたくさんある。
そう感じることができたゾウ会議となりました。

今回、おこなった発表内容については、何かしらのかたちでみなさんにお伝えできると思いますので、楽しみにお待ちいただければ嬉しい限りです。


ゾウ会議で他の動物園のケープハイラックス飼育担当の方々とハイラックスのことばかり話していたことを、ここにこっそり報告をしておきます。



小動物ゾーンの動物たちは、体のサイズが小さいため嬉しいことも悲しいことも多くあると感じています。
2019年の4月に、バックヤードで飼育していたケープハイラックスのポンタが老衰で亡くなりました。
このことは、担当として忘れられない出来事のひとつです。
彼からは、高齢動物のケアやその個体に応じた飼育方法などさまざまのことを学ばせてもらいました。


病気やケガをした動物たちのケアやエンリッチメントの充実など、課題はまだまだたくさんあります。


高齢のマレーヤマアラシ2頭ともが、無事に21歳を迎えることができたことは嬉しい出来事のひとつ。
マレーヤマアラシたちが今年も1年間無事に過ごすことができ、とりあえずはほっとしています。


何年も前からいろいろなタイプのものを作り続けているこちらの掲示。
この「Respect the Animals!」は、ハワイのホノルルzooに掲示されているものを参考に作成をしました。
ホノルルzooにこんな素敵な掲示がしてあることを、ファンの方に教えていただき、小動物担当ver.としてアレンジしての掲示です。
ご来園のみなさんにとっては、手書きの掲示のほうが目にとまりやすいのではと思い、ここ数年はイラストを含め手書きで作成してばかり。
毎回楽しみ悩みながら作成してはいますが、学芸員のはしくれとして、まだまだ修行が必要です。


今年も1年間、飼育ブログにお付き合いいただきありがとうございました。
それでは、また来年。
よいお年をお迎えください。

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「パルマヤブワラビーのボタンちゃん」
テーマ:パルマヤブワラビー 投稿日:2019年12月20日

ボタンが2019年10月29日に亡くなりました。
享年6歳でした。

ボタンはカンガルー病の治療のため、9月中旬から非公開の予備の動物舎で飼育をしていました。

死因は食滞でした。
カンガルー病の治療のために使っていた抗生物質の影響により、消化器官である胃の働きが弱まってしまい食滞に繋がった可能性があると考えています。

ボタンは毎日おこなっていた投薬にも堪えて、エサをたくさん食べてくれていました。
症状も良くなってきていたため、小動物ゾーンの仲間たちのもとへ近々戻すことを考えていたところでした。

カンガルー病とは、カンガルーや小型種のワラビーに一般的に見られる病気であることからこのような名前がついています。(正式には顎放線菌症という病名です)
この病気は、顎の骨が化膿して腫れてしまうことが主な症状です。
病状がひどくなると化膿がひろがり、食べ物を食べることができなくなって亡くなってしまうことがあると言われています。
乾草などの硬いものを食べたときに、刺さったり歯にはさまったりして虫歯や歯茎が化膿したり、展示場の壁などに衝突した際に口腔内にできた傷が化膿することなどが原因とされています。
野生のカンガルーの仲間は主にやわらかい草を食べており、また、体の構造上、非常に傷口が化膿しやすい特徴があることが関係しています。



ボタンは岡山県の池田動物園で2013年7月1日に生まれ、2014年2月13日に来園しました。


亡くなったボーイとの間に、子どものツバキに恵まれました。
ツバキは2017年に沖縄県のネオパークオキナワに移動しています。


2018年の秋には、東京都の大島公園から新しく仲間たちが来園してから彼女たちの暮らすオーストラリアエリアは、ますますにぎやかになりました。


ボタンの病気についての経過説明です。


右顎の骨が化膿して、顎の周辺が腫れてしまったボタン。

福山動物園でのカンガルー病はボタンが初めての症例となりました。
2019年の夏頃に顎が少し腫れていることに気付いたのが始まりでした。
症状に気付いた初期のころは、ボタンを群れからの隔離してしまうとストレスを感じ、エサを食べなくなってしまうのではと思い、群れの仲間たちと一緒に暮らしながら、投薬をおこなっていました。
ですが、他のワラビーたちがいる中での投薬は、私たちが無理をしてしまうとワラビーたちがパニックになってしまうため、私たちの動きが制限されてしまい、順調に投薬というわけにはいきませんでした。
顎がひどく腫れていたことがあったため、麻酔下で検査をし、顎の膿を摘出する処置を複数回おこないましたが、顎の腫れは残念ながら繰り返し生じました。
2019年の9月中頃にはボタンを群れから隔離して非公開の予備の動物舎で飼育をしながら、確実に投薬をおこなう日々がはじまりました。
初期の頃から、隔離して確実に投薬ができていれば違う結果になっていたかもしれないと思うと、残念で申し訳ない気持ちです。


カンガルー病は、予防と早期発見が重要です。
今後、他のワラビーたちが発症してしまう可能性は少なからずあります。
発症した場合は、早急に隔離して投薬をおこない、病状を止めることを目指します。
また、注射を用いて投薬をおこなうことを想定して、ワラビーたちに触ることができるよう、日頃からの触ることへの馴致をしていかなくてはなりません。
カンガルー病の克服が、ワラビーを飼育する私たち飼育担当の今後の課題です。


どこかで日向ぼっこをしながらお昼寝をして、以前一緒に暮らしていたボーイくんとの再会を願います。


ご報告が遅くなってしまい、申し訳ありません。
ボタンのことをかわいがってくださった多くのみなさまに感謝いたします。

小動物担当一同

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