福山市立動物園飼育員ブログ
「訃報 ワオキツネザルのルナについて」
テーマ:ワオキツネザル 投稿日:2019年11月22日
 この度、ワオキツネザルのルナ(21歳)が死亡しましたのでお知らせします。 

 ルナは薬を飲みながら乳腺癌とその転移癌と闘っておりましたが、それでも毎日ちゃんとご飯を食べるなど、頑張っている姿を見せてくれておりました。しかし、この秋くらいから、急激に容体が悪化し始め、11月10日、安楽死を実施する運びとなりました。  

 ルナは2000年に福山市立動物園に来園し、およそ19年間、みなさまに可愛がっていただきました。その期間のほとんどを、オスのアポロと一緒に過ごし、仲の良い2頭にはたくさんの子どもが誕生しました。ルナは、時にはアポロを部屋の隅っこに縮こまらせるほどの強気レディで、子育ても私たちの手助けを一切必要とせずに元気に育て上げる、そんな『肝っ玉母ちゃん』でした。当園で暮らすアースも、ルナとアポロの息子で、今は可愛いお嫁さんをもらって元気に暮らしています。  
 
 私が初めて担当についた年の春も、生まれたばかりの双子の姉妹を両脇に抱えていました。ルナは子育ての大変さと母の偉大さを私に教えてくれました。  

 その双子も大人になり、お嫁入り先が見つかった昨年8月頃、ルナの乳房が不自然に膨らんでいることに気が付きました。摘出手術を行い、検査をした結果、乳癌であると診断されました。再発や転移がないことを祈っていましたが、今年の始めには再発が見つかり再手術、更にその後、転移も見つかってしまいました。それからは薬を飲みながらの生活でしたが、それでも容体が悪化するまでは、元気そうにご飯を食べる姿や、アポロと毛づくろいし合う仲睦まじい姿などを毎日見せてくれていました。  

 闘病生活に入ってもいつも堂々としていて、まさに『肝っ玉母ちゃん』という感じだったルナ。そんな彼女がいなくなってしまったことは、とても悲しく寂しいですが、おそらく毎日頑張っていたルナに、今は心から「ありがとう、お疲れ様」と伝えたいです。これからは、息子であるアース夫婦が、ルナの繋いできた命を受け継いでいってくれるのだろうと思います。ルナが築いてきてくれたような、立派な家族を作ってほしい、と思います。  

 みなさま、今までずっとルナを見守ってくださりありがとうございました。ルナ、本当にお疲れさまでした。今まで本当にありがとう。



 

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