福山市立動物園飼育員ブログ
『ケープハイラックスのおちびさん』
テーマ:ケープハイラックス 投稿日:2017年10月2日

今年、2017年7月7日に生まれた子どもの1頭が、9月17日に亡くなりました。

同じ日に生まれた、もう1頭の兄弟と比べて、動きがにぶく、ぼーっとしている様子が9月頃から見てわかるようになってきました。
 
9月15日に治療のために捕獲したところ、皮膚がボコボコと荒れた状態で、検査をするとたくさんのニキビダニが発見されました。
 
9月16日には駆虫薬と駆虫用のシャンプーをおこないましたが、9月17日の朝に亡くなっていました。
 
死因は、重度の貧血でした。
エサを十分に食べていなかったことが原因でした。
 
推測ではありますが、離乳期間に入っていたので、母乳から大人と同じエサへの切り替えが上手くできずに貧血につながってしまったものと考えています。
 
※ニキビダニという動物は、人間の顔にもごく普通にいて共生している動物です。
ケープハイラックスも同様にニキビダニと共生していますが、今回のようにたくさん発見されたということは、ケープハイラックスが弱って免疫力が低下したことにより、共生のバランスが崩れニキビダニがたくさん増えてしまい、彼の体に悪影響を与えてしまっていたものと推測をしています。


この子は7月7日の七夕に、もう1頭の兄弟と一緒に生まれました(右側が本個体♂)。 

生まれたころから、おっとりした顔が特徴で、お姉ちゃんたちにお世話をしてもらっている姿をよく見ることができました。
 
展示場に入ると、意外と近いすみのほうや物陰から、こちらをじーっと見つめていることが多かったように思います。
 
のこされた同じ日に生まれた兄弟は順調に成長してくれています。
 
彼らは、体のサイズが小さいため、体へのリスクを考慮し、捕獲して検査をすることは普段ほとんどしません。
 
動きかたや食欲、うんちの状態などを観察することで、彼らに変わったことがあっても分かるようにしています。
ですが、異変に気付いたときには状態が悪く、体のサイズが小さいため、数日で亡くなってしまう場合も少なくありません。
 
ケープハイラックス家族の飼育管理について、改めて考えていきたいと思います。

この子のことをかわいがってくださった多くのみなさまに感謝いたします。
 
小動物担当一同

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