福山市立動物園飼育員ブログ
『今日のふくちゃん 51』
テーマ:ボルネオゾウ 投稿日:2017年1月22日
ただ今、「ふくちゃん」担当者は新たなアイテムを試作中です!
何ができるか、乞うご期待です!! 
待っててね!ふくちゃん!



さて、これまで
「今日のふくちゃん」シリーズでは、飼育員の目線で「ふくちゃん」の闘病生活や環境エンリッチメントなどについて記してきました。
(※環境エンリッチメントとは、“飼育動物が本来持つ能力や習性を発揮させて、幸福な暮らしが出来るようにするための工夫”です)
いっけん、闘病生活と環境エンリッチメントは関係ないように思えるかもしれませんが、実は少なからず関係が!
 
動物園にいる動物の多くは、野生で生きていくための能力や習性を持っていますが、それを発揮できない場合、過度なストレスになってしまうことがあります。
例えばゾウの場合、野生では長時間エサや水などを探して歩いたり、大量のエサを食べたりして1日を過ごしますが、飼育されていると自分でエサを探さなくてもエサにありつけるし、良質なエサが貰えるので野生よりも少ない分量で効率よく栄養をとり生きていくことができます。

でもそうなると、食べる時間が短縮されてヒマな時間が増え、本来持つ能力や習性を発揮できず、同じところを行ったり来たりしたり、グルグル回ったり、リズムをとっているような反復した行動をしたりするようになります。(この行動を常同行動と言います)

こんな行動をしているときは、過度なストレスがかかっている状態です。
過度なストレスがかかると、体はこの状態を克服しようと、あるホルモンを出し始めるのですが、このホルモンが出続けることで、免疫力が低下したり(病気にかかりやすい)、ケガが治りにくくなったり、胃などの消化管が悪くなったりします。
また、繁殖(こどもをつくること)にも悪影響を与えます。
 
ここまで言ってしまえば、もうおわかりの方もいらっしゃるかもしれませんが、闘病中の「ふくちゃん」は、再発防止も含めて免疫力をあげなきゃいけないし、消化管の調子を良くして、しっかり栄養を吸収して体力もつけなきゃいけない!
つまり、ボルネオゾウ 「ふくちゃん」の持つ能力や習性を発揮させることが、免疫力アップにも心身ともに健康な状態にもつながるということなんです。
 
と言っても、相手は生き物!なおかつ頭の良いゾウさん!! 
試行錯誤しながら、いろいろとチャレンジして、環境エンリッチメントにも取り組みます!
まだまだ、頑張んなきゃ!!
 待っててね!ふくちゃん!!
 

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