福山市立動物園飼育員ブログ
『擬態』
テーマ:園内の野生生物 投稿日:2016年9月15日
こんにちは。
動物たちのエサの収穫に園内をうろうろしている小動物担当です。

サル舎の壁に止まっていたとのことで、こんな昆虫がやってきました。


ひょろひょろっと、とてもスマートな体と脚。
ずばり、この昆虫はナナフシの仲間のタイワントビナナフシといいます。
初めて園内で見つけたので、ちょっぴり興奮しました。

このナナフシは、夏〜秋にかけて成虫が現れるので秋のナナフシといえるかもしれません。
たしかに、体の色も秋色な感じがします。(なんとなくです)



名前に「トビナナフシ」と付くくらいなので、ちゃんと羽があります。
羽は薄いピンク色をしていて、飛ぶこともできます。
このように少しイジワルをすると、ゴボウのような不思議なにおいを出すのも特徴のひとつです。
ちなみに、こちらのタイワントビナナフシは外来生物といわれています。
国外では、中国、台湾、東南アジア、国内では本州、九州、南西諸島などに生息しています。
日本の本州の個体群について古い記録がなく、卵を植物に付着させる方法で産卵するため、海外や本州以外の国内から植物などを移入した際に、一緒に卵も入ってきた可能性が考えられています。


ちなみにちなみに、ナナフシの仲間の多くが単為生殖という繁殖の方法をしています。
単為生殖って?????かもしれませんが、簡単にいえばクローンなのです。
母メスは、オスと交尾しなくても、お腹が大きくなり産卵をして、卵から生まれてきた子どもたち(全てメス)は母のコピーで、またオスがいなくてもお腹が大きくなり…という不思議なサイクルで生活をしています。
このタイワントビナナフシも例外ではなく、クローンな繁殖方法をしています。
その為、このタイワントビナナフシはメスしかいないということなんです。
で・で・で・ですが、とても不思議なことにオスはいままでに1頭だけ見つかっているという不思議さしか残らない昆虫なのです。


うーん、ナナフシって不思議ですよね。
園内には、展示動物だけではなく野生の小さな動物もたくさん見ることができます。
展示している動物を観察するときに、足下や葉の上、動物舎の壁などにもご注目していただけると、何か面白い発見があるかもしれませんよ。

△ページトップへ