福山市立動物園飼育員ブログ
『エサのあたえかた』
テーマ:アミメキリン 投稿日:2015年8月13日

何これ!?わわわ…ワラ?
今日はキリンのエサについてのお話を。
サバンナゾーンからこんにちは。キリン担当です。
キリンって何を食べているの?と質問をすれば、みなさん「葉っぱ!」と答えてくださるかなあと思います。
みなさん大正解!キリンの主食は葉っぱなのです。
過去に何度かBLOGでお伝えしたように、福山動物園では地元の方にたくさんの新鮮なカシの葉を持ってきていただき、キリンに与えています。

キリンになるべくたくさんの葉を与えようとしていますが、キリンたちのお腹いっぱいになるまで葉を与えるのはとてもむずかしいのです。
その足りない分を補ってくれているのが、はじめに登場したマメ科の乾草なのです。
この乾草、いままではキリンの寝室内に設置してあるエサ箱にたんまり入れて食べてもらっていました。
だけど、この方法だとキリンが乾草を床にたくさん落としてしまって…それに落とした乾草は食べてくれない始末…頭を抱える担当。 

そこで先日、NEW(新しい)乾草入れを設置してみました!

寝室柵の外側に! 

ふあっ!外側に!!なんでそんなことするの!?キリンがかわいそうじゃん!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、いろいろと理由がありまして。

まず見ていただきたいのが、キリン側から見た乾草入れ。

寝室柵の外側に乾草入れを設置することで、柵の向こうに乾草がある状態になって、ところどころ柵から乾草がとびだしていますね。
この柵の間隔は、キリンの口が入らないようになっているので、キリンは乾草を引き出すために舌を使わない状況に。

そもそもキリンはなんで舌を使わないといけないのか?? 

野生のキリンは、舌をたくさん動かして木から葉をとって食べています。
だけど、動物園に暮らしているキリンは食べ物(乾草やペレット)を舌をあまり使わなくても口だけで食べれることが多いので、本来たくさん使うはずの舌を使うことがあまりなくなってしまいます。
そうすると、おひまになった舌を使ってあそんでみたり、柵をなめたりかんだりしてしまいます(キリンやウシの異常行動なんです)。
キリンたち本来の習性を引き出して、おひまな舌であそばせないためにいろいろと工夫をしているという訳なのです。

ということで、お話がもどって…
キリンが舌を上手に使って食べているようすがこちら!

舌を柵からベローンとだして… 

上手に乾草を引き出して口に運びます!
柵からとびでた乾草はちびちび食べてくれています。

このように、柵の外側に乾草があるおかげで、舌をたくさん使って食べてくれるようになりました!
他にも、乾草を少しずつ食べるようになったので、長い時間をかけて食べるようになりました。
つまりキリンたちにとって、おひまな時間が少なくなったといえるかもしれません。
あともうひとつ、乾草を床に落とすのが少なくなったので、もう頭を抱えなくてよさそうです。

現在、このようにキリンたちに使ってもらっているNEW乾草入れですが、まだまだ課題があったりしますので、キリンたちと一緒にこれからもがんばらないと!

めずらしく長文になりましたが、園内のいろいろなところに各担当がさまざまな工夫をしています。
動物を見るときに、「これはどうやって使うの?なんでこんなところに?」なーんて、見て考えていただけると動物園をさらにおもしろく見ることができるかもしれませんよ。

△ページトップへ