福山市立動物園飼育員ブログ
『小さな命』
テーマ:パルマヤブワラビー 投稿日:2015年7月25日
7月17日、台風が中国地方を縦断したこの日、とても残念なことが起きました。
以前よりブログでお伝えしていたパルマヤブワラビーのこどもが、早朝、ずぶ濡れ、泥だらけになって弱々しく立っていました。
母親の袋に戻ろうとしますが、母親は尾を地面にたたきつけて、こどもを威嚇します。
異常事態だと感じ、こどもを保護してみると、身体が冷たく、授乳ができていないようでした。
そこで、ドライヤーで体を乾かしてあげた後、皮下輸液と哺乳をして、身体を温めてあげると、少しは元気を取り戻しました。
その日は保育器の中で一夜を過ごしました。
(その他、ワラビーが飲んでも大丈夫なミルクの成分や、環境温度、布の素材など、いろいろと調べ、今できる最大限の事をしていきました)

次の日、子育ては人よりも母親が行うのが一番なので、母親のもとに戻してみましたが、前日と同じようにこどもは威嚇され、姉のツバキちゃんに助けを求めていました。
このままではミルクも飲ませてもらえないので、再度保護し、人工的に育てることにしましたが、状態は決して良くありませんでした。

『どうにかして、この小さな命を生かしてあげたい!!』 

その一心で、哺乳や治療、また自分で排糞や排尿が出来ないので、マッサージをしてあげました。
 
しかし、状態が良くなることがなく、数日後に死んでしまいました。
 
今回は悪天候と育児放棄が重なるという最悪の状態でした。
この子を生かしてあげられなかった悔しい気持ちがあります! 
この子が生きた証はちゃんとありますし、次に同じことが起きないように私たちは努力をしなければいけません。

最後に、
多くの皆さま、短い間でしたが、このワラビーのこどもを愛していただき、ありがとうございました。

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